6月のメッセージ(要約) 「私たちの国日本、これからです」

 いつからこのようになったのか、人間の生活の場にちからによる支配がはびこって

いるのです。個人と個人の関係、個人と集団・組織との関係、組織・国家間においても、

ほっておくと、目覚めてそうはならないようにと努めていないと、ちからの支配が出現してくる

のです。この現実を認めつつ私たちはどうすればいいのでしょうか。

私はヨハネ福音書19章25節から27節の物語を興味深く読みました。

 

 イエスはユダヤ教指導者層から憎まれてしまいました。この人たちは組織だって動き、

イエスを捕えます。そしてイエスを死刑にするためにローマ総督のピラトに突き出します。

ピラトはイエスに犯罪性を認めませんが、ユダヤ人を沈静化するために、イエスの死刑を

決定します。ピラトはイエスに対して、自分はお前を釈放することができるし、死刑にする

こともできると告げたのでしたが、まさにちから・権力を持つ者は、合法的に自らの利益を

追求・優先しこれを実現するために人を断罪できるのです。

こうしてイエスはユダヤとローマの権力者たちから十字架刑にされたのです。

 

 そのただ中にあるヨハネ福音書19章25節から27節です。

イエスは十字架上から一人の女性弟子と一人の男性弟子に対して、この女性はあなたの

母である、この男性はあなたの息子であると語りかけます。私は次のことを読み取ります。

イエスが殺害された後もイエスを殺害した者たちの支配は続くのです、

弟子たちは自分たちを憎む者たちに、迫害する者たちに直面し続けます。

弟子たちが直面しているのは、ちからを持つ者たちが自分たちに都合よく個人の存在を

取り扱う現実です。個人の存在が軽く扱われるのです。

しかしそういう現実は変わらずとも、人間のさいわいのありかととして、人間の喜びとして、

人間の生きるみなもととして、人は愛の交流をしていくようにというメッセージがここにあると思います。

愛は人間を重んじるのです。人間の存在を重んじる人は愛を知るようになります。

憎しみと保身と権力・暴力を使った利益の追求が渦巻き続く現実を生きるなかで、

いつも愛の交流を大切にしよりどころにしたイエスの静かな確信がここにはあります。

 

 この物語が語ることは、キリスト教会、クリスチャン、いえいえ、

信仰者であるかどうかではない、私たちみんなへのメッセージではないでしょうか。

 私たち人間の歴史を振り返れば、権力を持つ者が市民の存在を軽んじたことによる

できごとは数え挙げることができないほどにあります。

また、現在の日本では法律を作る権力を持つ者が、合法的に市民の存在を軽んじる

政策を立法化し推し進めているではありませんか。

この裏返しには、私たち自身が自分と隣人の存在を軽んじていること、

それゆえに権力の専横を批判できず受忍しているという現実があります。

 

 この状況から、個人の存在が重んじられるようになるまでには、どんなことが必要か。

私は時間が流れれば実現するようなものではないように思います。

人と人が愛の交流を深め広げていくことで、個人の存在を重んる雰囲気、

文化のようなものが作られていくのだと思います。

 

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 写真はアデルフォイのナスの実です。アデルフォイの菜園は今年二年目です。

ナスの実は細く数も少ないのです。私はナスをまるまると実のらせた近所の畑を見て

痛感しました。土の質が違うのです。アデルフォイではついせんじつまで樹木が

植わっていた庭園を菜園にしたのですが、

アデルフォイの土はまだまだ野菜が育つ土になってはいないのです。

 

 敗戦から70年の私たちの政治状況、私たち市民社会の現実は、

まだまだこれからなのだと思います。

平和主義、国民主権、基本的人権を具体化することよりも、

政治権力者の趣向の方が法律になってはなりません。

 これからも私たちは厳しい現実に直面していきますが、

それはイエスも直面し、人類・私たちの先達も直面したことです。

どのようにしていけばいいか。

愛の交流を大切にしよりどころにして、個人の存在を重んじることを私たちから実行し、

個人の存在を重んじる文化を深め広げていくことです。この文化が豊かに育まれることで、

私たち市民はそのときにふさわしく花を咲かせ果実を収穫していくのだと思います。

先ずは家庭において、私たちと周りの人との関係において、そして教会において、

私たちから個人の存在を重んじることを始めていきましょう。

 

                      2015年6月27日     石谷牧師記

 

 

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