第13信「福島原発事故被曝者診療支援報告」

 福島原発事故被曝により健康をそこなっている方からの申出を受けて、広島の専門医による診察支援を行っている「ジュノーの会」への協力を、みなさまのお祈りと献金に支えられて継続できておりますことを感謝申し上げます。2013年度に私が「ジュノーの会」に協力できたことについて報告させていただきます。


2013年度に私ができたことは全国各地に自主避難した方々が体調不良になり、長年被爆者治療に携わっている専門医による診察を希望して来広した際の受診に立ち会うこと、受診者とジュノーの会の打合せ会に参加すること、受診者に放射性物質を体外に出すのに有効な「梅、味噌、ドクダミ茶、特別な入浴剤」の物資をお送りすることでした。


受診者は、福島県内、東京、横浜、千葉から、広島県内、岡山、高松、鹿児島に自主避難または移住された、子どもを含むのべ26人(8回受診実施)でした。訴えられている症状は、鼻血、下痢、のどの痛み、倦怠、物忘れ、不眠、心臓の痛み、疲れ易い、記憶障害、抑うつ、甲状腺に関することなどでした。診察ではからだがどんな状態になっているか、体内に入っている放射性物質の影響を調べる検査とこれに対応する貼薬を施すこと、生活全般への助言が行われます。みなさんからの献金によるJMF予算からの支出は打合せ会の茶菓代、物資購入・送料代として32,056円でした。

 


原発事故から4年目に入る2014年度には福島県在住者、全国各地の移住者から受診の希望が増加すると予想されます。私はJMFの活動として、「ジュノーの会」による福島原発事故被曝者診療支援への協力を続けていきたいと思っております。今後とも関心を注いでいただきこの活動を支えていただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。


それにしてもこの3年間、福島原発事故によって強制避難を余儀なくされた方々、福島県内外居住者で自主避難された方々、事故収束に従事する人々は過酷な生活を強いられています。ここに見られること、それは政府にとっては住民のいのちとくらしは軽いのだいうことです。たとえばこどもを避難させる際の空間放射線量をどう判断するかということでは、原発事故前は年間1ミリシーベルト以上は健康上被曝させてはならないと国は決めていたのに、被爆後は年間20ミリまではただちに健康に影響なしとしました。現在では20ミリまでなら帰還できるとされ、帰還しない者への補償はなくなることになりました。私は国に都合の良い「安全神話」が蔓延し強制されていくことを恐れます。今全国に1ミリシーベルトを超える地域が放置され、そこに多くの子どもたちと市民が住んでいる、これは国による棄民政策ではないでしょうか。受忍すべきことではないと感じた人の中から自主避難が起こったことは当然だと思います。私たちが守るべきものは何なのでしょうか。


原発は差別の構造で成り立っています。辺境の地方に建設され、人口の多い所には危険だから作らないとされています。原発で働く人々の仕事従事場は、安全が確保されたところに電力会社社員、危険な作業をせねばならない所に向って、元請け、一次下請け、二次と続き、最後は日雇いの人々、賃金も安全の担保もこの順に軽くなっていきます。人間のいのちとくらしの差別が当たり前になっている原発、これを私たちはいったいいつまで続けるのか。著しく人間性が欠けた原発は人道に反するのではないでしょうか。おまけに安全に処理できない廃棄物は溜まり続けています、次世代への犯罪ではないでしょうか。


私は、原発について学びながら、現在健康不安を抱えて広島に来られる人たちを迎える働きを、JMFに繋がるみなさまに支えていただきながら続けます。重ねて今後とも

関心を注いでいただき支えてくださいますようお願い申し上げます。


以上

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