リニューアル工事を終えた本館を2回歩きました。1回目は本館のみ、2回目は長い時間をとって本館と東館。
そのなかで感じたことがありましたので、みなさんが資料館に行かれる折に参考にしていただければと思った
ことを書きます。リニューアルした本館を見学したあと思ったことは、8月6日にひろしまにいた人たちが
どんなふうにされてしまったか、そののちどのような原爆症が起こり生活はどのようになっていったか、
を遺品と写真と本人と家族の手記とによってよく伝えている、ということでした。
原爆の威力その恐怖が伝わってきました。
しかし同時に、私には、「なぜ」そのようになったか、「そのなぜ」は現在の私たちの暮らしには、
もうなくなったか、関係ないようになったか、と見る者が自分に引き付け広げていくような、
「なぜ」が弱い、と思いました。
たとえば、爆心地からの距離による爆風の速さと熱線の温度(熱量)が示されていれば、
爆心地からの距離が分かる建物疎開中に被爆した中学生がなぜこれほどの火傷を負うたのか理解できます。
また被爆死した朝鮮人日本兵士の遺影には、朝鮮に対する日本の植民地支配と強制徴用の説明があれば、
写真が重層的に見えてくると思います。このほか放射線のこと等気付き感じることが多くありました。
そこで私の巡り方の提案です。それは入館して3階に上がったら、順路では本館に向けて矢印がありますが、
先に同じフロワーにある東館に移動して、一番目にある「原子爆弾の開発と投下」と「原子爆弾の恐怖」の
二つコーナーを見ることです。これにより、8月6日の歴史的文脈と原爆威力の基礎データーを頭に入れれば、
本館の展示と何かしら自分の内でキャッチボールできる
場面が生まれると思います。
さらに良いのは、私たちが朝鮮半島の植民地支配、国家総動員法などによる子どもたちへの建物疎開作業への
強制等の知識を持つと、展示物は語ってくる内容を増やすことでしょう。
2019年5月20日 石谷牧師記