「なくてはならない塩、そして投票に行こう」

 このごろ食事を自分で作ることがあります。

ご飯を炊き、味噌汁、チャーハン、肉を焼いたり、

魚を焼いたり、目玉焼きを作ったり。

楽しいですね、作っている間に食欲も出てきます。

しかし、どんな料理も塩かげんがむつかしいですね。

塩が多いと食べられず、少ないと物足りず、適量と

思っていても、健康の点からはたいていは過多となっている。

食材を相手に塩かげんを上手に塩梅(あんばい)できるようになる

ことはすごいことだ、食事作り超初心者の感想です。

 

 イエスのことばに、「あなたがたは地の塩である」があります。

地を、世の中、家族、知人、隣人と言い換えてみて、

たとえば、私がボランティアを一緒にしているひとりの仲間にとって、

塩の働きをする、と考えてみます。

「あなたはそのボランティア仲間の塩である」というわけです。

 

 その方が、ご自分の生きることを喜び健やかな気持ちで

日々歩んでいる、さらにその仲間のよいところが引き出されている

ことに、私が少しでも用いられるならば、私はその方にとって「塩」

となれるでしょう。いい「塩かげん」なのです。

 しかし、その仲間にとって私の塩が濃くて強すぎるなら、

仲間は閉口し困って、その個性・たまものの成長に私は役立てないことでしょう。

私の塩が弱い場合も同じようなことになるでしょう。

 

 (この文章では、じつは「塩が弱い」ことが気がかりなのです。)

 

 食材に対してもさることながら、私たちが、私とは違うそして誰ひとり同じ人はいない、

そういう隣人にとってよき塩である、よい塩かげんであることはむつかしものだと

自分を省み思うのです。

 

 にもかかわらず、「あなたがたは地の塩」である、とは。

なんともとらえどころなく見えて、不格好にも見える歩みかもしれませんが、

独自で個性を持つ世界に一人しかいないその隣人にとって、私がよき塩である、

ことはむつかしいことだ、

でも、あなたは、私は、ときにはよき塩の働きをできるといいなと思って生活をしている。

このことが私には不思議なのです、そして「地の塩」であるとはこのことかと思うのです。

 

 地を「現在の日本社会で省み見られることの少ない人」と言い換えてみます。

「あなたがたは現在の日本社会で省み見られることの少ない人の塩である」。

 

 現在政府に、そして政府は私たちの選挙の結果であるので、

私たちという社会において、なんと省み見られることのない人たちが大勢いることか。

福島原発事故によってそれまでの生活を一変させられてしまった人たち。

3年8ヶ月にわたる外部被曝と内部被曝によると思われる健康障害を訴える人たちの

ことがインターネット上では出てきています。

このたびの沖縄知事選挙、現職26万票、そして翁長さんには36万票。10万票の

大差をつけて普天間飛行場の辺野古移設をしてほしくないと政府に表明した沖縄の人たち。

沖縄県の全市町村を挙げて政府に提出した建白書と同じように、政府がこのたびも

沖縄の人たちの意思を省みないとしたら、いまの政治はだれに向かって行われている政治か、

すぐにも分かるといいうものです。

低賃金で正規雇用者と同じ労働をしている非正規雇用と呼ばれる人たち、

いったいいつからこんなことが当然視される労働環境の蔓延となったか。

日の丸と君が代を拒んだことで、卒業式にグランドでの駐車場整理を

命じられた教職員たち。十分に食べることができずにいる全国各地にいる年金生活者、

そして母子家庭、社会的弱者とよばれる人たちの現実。

日本社会全体を良くしていこうという意識を持てなくなった若者たちと富裕層、

そこに深まる断絶。武力ではなく対話と軍縮で外国との争いの種をなくそうとの声。

デモ行進を続ける特定秘密保護法を危惧する人たち、原発再稼働に反対する人たちの

声はなかなか政策にならない。

日本社会に生きる人間の現在はどうなっていますか、そして近い将来はどうなりますか。

省みられないのは、わたしでもあります、もしかしたらあなたもかもしれませんね。

 

 私たちから始めませんか。

すこしでも現在だんだんと省み見られることのなくなった、

しかしこの社会で生活を続けている人間の生きることに、

用いられるといいなという歩みを。

 

 私は周りのみなさんを誘っています。

今度の衆議院選挙は、私たちが「省み見られない人の声として用いられる」

グッドチャンスです。

けっして、アベノミクスへの審判だけではないのです。

私たちの思いと納税金の使い方を託す政治家、政党を選ぶ機会なのだから

よく考えて、ともかく投票に行こう、と。

ここまで読んでくださったあなたもお誘いしたいです。

 

   2014年11月21日(金)  石谷牧師記

 

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